豊穣たる熟女たち
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豊穣たる熟女たちと神楽坂を歩く


例の豊穣たる熟女たちと久しぶりにあって、神楽坂を歩いた。ひとつには、パリ旅行の土産話を聞かせてやろうと思って、もうひとつは、先日あった際に体調の不具合をだいぶ心配してもらったので、それへのお礼方々、健康管理の現状について報告するためだ。

前回と同じように秋葉原駅前の小公園であったが、目をあわすやいなや、体の具合はどうなんですの、と聞かれる。まあ何とかうまくいっているよ、その後病院で精密検査を受けたところ、大腸ポリープがふたつ見つかったけれど、それも再来週には取ってもらう算段なんだ。前立腺については、目だった所見もなく、肥大もしていないといわれたよ。

総武線の電車に乗って飯田橋まで行き、神楽坂を上る。熟女たちは、こんな緩やかな坂でも身にこたえるわなどと不平をいう。今夜の店は、善国寺前の路地にある割烹料理屋世喜。いつかM女史たちと入ったことがあって、その際の雰囲気がなかなかよかった。

お座敷に通されると、ほかに客の姿もまばららしく、おかみが出てきて、世話を焼いてくれる。

T女がいう、パリ旅行の記事をブログで読みましたわ、なかなか楽しそうでよかったですね、食事のこととか、トイレの便器が高くて使いづらかったですとか、当地の様子が目の前に浮かぶようでしたよ、それにしても、おちんちんを摘み上げないと用を足せないなんて、それは不便なことでしたね。

こんな具合で、話は遠慮がない。

健康が話題になったついでに、筆者の前任者だったM子が死んだという話を聞いた。筆者はそのことを全く知らないでいたので、びっくりした。今年の春に今の職場を定年になって、これから本当の余生を迎えるというときに、ぽっくり死んでしまったのだそうだ。

人間の中には、身辺にやるべきことがなくなると、生きていることさえやめたがるものがいるらしい。

クーポンのサービスですとかいって出された秋田の酒がなかなかうまかったので、そのおかわりをした。熟女らもうまそうに飲んでいる。酒がうまいのはうれしい、料理の味もなかなかだ。ついつい飲みすぎてしまうのは、ときの勢いというものか。

すっかり気分がよくなったところで、神楽坂の起伏に富んだ地形を、四人連れ立って歩いた。石畳の道が、風情があっていいですね。でも足元に気をつけないと、躓いてしまいそうだわ、気をつけて歩きましょうね。

夜空を見上げれば、星の光は見えるが、月は見えない。旧暦では月末に近いタイミングなのだった。その代わりに人口の光が明るいので、足元もよく見える。普通に気をつけていれば、つまづくことはない。





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